野ブタ
ちょうど1年ほど前、
また若い芥川賞候補者が出たというので読んだ本が
白岩 玄・著 「野ブタ。をプロデュース」
文学作品でありながらドラマ化されるというので
少し戸惑いましたが、
もう終わってしまったようですね。
原作は、そこそこ好きなので
自分としては珍しくドラマを見てみよう
と思っていたんですが、
10分で見るのをやめてしまいましたね。
度量が狭い男なので
プロデュースされるのが「男」ではなく「女」というのが
どうしても許せなかったです。
この本を最初に読んだときの感想は
(といっても1回しか読んでいないが)
軽い文体だけど、全体の流れや描写はよかった。
仮面をかぶった主人公が自分にも似通った部分があり
自嘲的にとても面白く読めた。
短編小説なので展開が速く、
世の中を見下している割には
思慮が浅くて葛藤が少ないような、
実際にありそうで絶対にないだろうお話だな。
と、まあこんなところだった。
冷めた高校生活を送ったので
本以上にドラマの冒頭を見ただけで
「ただの学園ドラマじゃん。こんな話はないな」
と思ってしまったけど早計だったかな?
この本には「友達」というものは存在せず、
あるものは自分に酔っている主人公と
酔いがさめてしまったときの主人公の落差が最も印象的な本だと思う。
どんな人間と会うのも煩わしくなるような時期を
ほとんどの人が経験するのだと思うが、
それを乗り越えるものは他人の力ではなく
自分自身との葛藤であるはず。
こういう時ってどんなに優しい言葉も癪に障るからね。
この主人公は自己の葛藤を拒否し、
自分が過ごしやすければ仮面でもかぶっとけ
というような考え方の持ち主で、
最後の転校によってそれが決定的になったとおれは思ったんだがどうだろう?
最後に
「プロデュース」というのは
この物語においてはキーポイントではなく、
仮面を表に出すためのツールとして映ったんだけど、
ちと、変に解釈しすぎかな?
まぁ、疑問をぶつける相手もいないが、
芥川賞の候補にもなったくらいだから
奥が深い物語なんでないかな?
と、「グランドフィナーレ」(このときの芥川賞)と比べて思った。
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コメント
TBありがとうございます。
私は現代の小説など読みませんが、文芸評論家の富岡幸一郎さんは、「他者とどのようなコミュニケーションが可能か?」を問うことが、現代文学の特徴だといわれています。
自己との葛藤とは、他者を拒絶した状態でもあるので、そういう捉え方がとても面白いと感じました。
投稿: ソレル | 2006/01/02 02:35